第24回フェアトレード・ラベル・ジャパン新事務局長 潮崎真惟子さん

「新事務局長としての挑戦」
今回、2021年度から新しくフェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)の事務局長に就任した潮崎真惟子さんに話を聞きました。

潮崎さんは、一橋大学を卒業し同修士課程修了後、デロイトトーマツコンサルティングを経て、オウルズコンサルティンググループにてマネジャーを務め、今に至ります。コンサルタントとしては事業戦略立案などに加え、サステナビリティ・SDGs・人権関連のコンサルティングや政策立案、ルール形成戦略立案、人権デュー・ディリジェンス、NPO/NGO向けコンサルティングなどを多数担当。
フェアトレード・ラベル・ジャパンに対しては2018年から事業戦略立案等で継続的にプロボノ(無償支援)として連携してきた経緯があります。
F L Jの新しい顔である新事務局長に、対談形式でインタビューしました。

インタビュアー

フェアトレード・ラベル・ジャパン
吉野彩夏(学生インターン 法政大学法学部国際政治学科3年)
取材日 2021年4月22日


 

― 大学、大学院時代に国際協力や国際開発を学ばれていたそうですが、国際協力の分野に興味をもったきっかけは何だったのですか。

潮崎さん(以下、敬称略):特に大きな出来事があったわけではないのですが、小さい時から正義感のようなものが強い方でした。
マザー・テレサの本などを読んだときに、生まれた国によって将来の選択肢が変わってしまうことを知り、それに対して怒りのような感情を抱いたのを覚えています。
そこから国際協力の分野で働きたいと思うようになりました。
小さい頃はそれに対して何をすればいいのかわからなかったのですが、大学進学を考えるときに、途上国で貧困がなぜ起きているのかを学ぶ“開発経済”という学問の存在を知り、それを学ぶことができる一橋大学への進学を決めました。

― 大学時代はどんな勉強、ご経験をされましたか。

潮崎:大学と大学院では主に経済学と開発経済を学んでいました。貧困はなぜ起きるのか、どうしたら改善できるのか、貧困に対してどういう施策が有効なのかを勉強しました。また、学生時代には開発途上国の現地に多く行った経験があります。
例えば大学4年生の時に訪れたインドではコルカタから電車やバスを乗り継いで6時間程の場所にある農村に1人で滞在しました。そこでは現地の農家の方々の“自分が作っている農作物への誇り”を感じました。夕陽をバックに農作業に励む現地の方々のかっこいい姿が今でも目に焼き付いています。
国際協力の場では色々な支援の形があり、どれも必要なものではあるのですが、支援に依存してしまっている現場もあります。そこで、最終的には自立して自分の力で変えていけるように支援することが大事であると思うようになりました。
「自分で作ったもので自立して生活を立てていけるように途上国を支援する」ことに興味をもち、そのために農業生産性に関する研究なども学びました。他にもベトナム、フィリピン、カンボジアなどを訪れ、現地の方々にヒアリングを行ったり、現地企業を調査したりと現場の声を聞く経験をしました。社会に出てからは中東やアフリカにも足を運びました。

―大学院ご卒業後は、コンサルタントとして働かれていたそうですが、どんなお仕事をされていたのでしょうか。
潮崎:ビジネスコンサルタントとして企業の事業戦略等を立案する仕事をしていました。
その中でも私の専門分野として、SDGsビジネス、サステナビリティ対応、人権対応などの案件を担当し、「いかに社会に貢献するか」「どう課題解決をしていくのか」などを考えることを通して企業が事業を見直すお手伝いをしていました。
コンサルティングを行う相手も、民間の大企業からNGO・NPO、また政府など様々で、NGOやNPOに対しては無償で事業改善案を考えたり、政府に対しては政策立案に携わったりしました。
― フェアトレード・ラベル・ジャパンとはどのような関わりがあったのですか。

潮崎:フェアトレード・ラベル・ジャパンに対しては、既存の事業の改善と新規事業立案について一緒に考えるという形で支援をさせていただいていました。
既存事業に関しては営業の見直し、業務の整理など。新規の事業に関しては、エシカルな商品を小売店等でまとめて売るような戦略を提案していました。
お店ではフェアトレード商品などが各売り場に点々と売られていることが多いと思うのですが、それをまとめるなどしてより多くの人の目に止まるように仕掛ける提案もしていました。